娘ぽや子は中学3年生の終わりの春休みに、学校選抜による海外短期留学に参加したいと言い出しました。海外に興味が湧く年頃でもあり、周囲の友達も中3〜高1くらいのタイミングで、春休みや夏休みを利用して海外に短期留学する子が続出しました。内申書の「校外活動」の欄を埋める事を意識して、参加させるご家庭も多いのだと思います。参加する場合は、鉄緑会の春期講習に参加できない事になります。
海外短期留学&ホームステイしたい!
学校代表による留学制度なので「校内での選抜試験に受かったら、その時考えようね」と言っておきました。すると、これまたうっかり通過してしまったのです…。学校代表チームとして現地に渡り、現地の学校の生徒達と交流するための活動の一環として、日本文化を紹介するプロジェクトへの参画が必須となっていました。これがまた大変で、選抜された生徒達や先生方と一緒に、毎日放課後に集まってディスカッションやプレゼン作成のための活動をするようになりました。今にして思えば、本当に行き当たりばったりな親娘だと思います。
あれもこれもと興味の赴くままに手を出して、どんどん大変になっていきました。
鉄緑会では高1になると校舎は大阪校になり、週1〜2日、平日に授業が入ってきます。更に高2になれば理科などの他教科も入ってきて、週3〜4日の通塾は必至。高3ともなれば日曜日以外ほぼ毎日通う事になりそうです。
平日の通塾が成り立たない
平日だと鉄緑会の授業開始時刻に間に合わないので常に遅刻になるし、帰りは今でも授業が終わると一目散に京都駅に走り、最終に近い新幹線に飛び乗って帰ってくるため、授業後に先生に質問や相談などといった時間は一切とれていません。授業が延長しようものなら、途中退出せざるを得ませんでした。
物理的にも経済的にも負担が大きく、どう考えても高校以降も続けられるとは思えませんでしたが、今のところは土曜日だけの通塾を、なんとか続けておりました。
ただ本人は至って淡々と鉄緑会の宿題をこなし、最初の頃こそ宿題の量の多さをこぼしていましたが、そのうち慣れたのか何も言わなくなりした。初めての数学のテストでも、8〜9割くらい得点できていたため、授業にはそれなりについて行けてるようでした。
そうなると更に辞める理由が(逼迫した財政状況以外に)見当たりません。高校に入っても続けてみて、どうにも立ち行かなくなり本人が辞めたいと言い出したら辞めさせようか、と私は悩んでおりました。
「鉄緑会、どうお?」と聞いても娘は「うん、楽しいよ。友達もできたし」と飄々としています。
おそらく、通塾のために新幹線に乗って京都へ行くという、非日常感を楽しんでいる節もありました。名古屋を乗り過ごした時はヒヤリとしましたが、今のところは土曜日だけの通塾だし、新幹線の中でも宿題はできるし、特に困っている様子もないので、やはり急いで辞めさせる理由もありません。強いて言えば、月の塾代と同額に近い交通費だけがネックでした。差し当たり春休みの北米への短期留学は参加して、その後もできる限り鉄緑会を続けようかと思っていました。
ところが!!
そんな時に息子トムが帰省しました。鉄緑会の話題が出ると、「まだやってんの?」と珍しく冷ややかな口調で聞いてきました。
息子トムの一喝
トムは鉄緑会にぽや子が通う事をあまり快しとしていませんでした。私が生返事をしていると、
などと珍しくまくし立てて説教してくるではありませんか。
注:鉄出身者・経験者でないと塾ヒエラルキーを知らないためかこういう捉え方をしがち?
ちょっと目ェ醒ましてほしいわ
トムは理三に集う同級生達が、全員が全員、医者を目指して入学している訳ではないこと、日本の頂点だから入ったという人も一定数いること(駒場の2年間で知り合った理三生を通して得た実感)を挙げたのでした。弁護士になったり省庁に就職する人もいて、自他ともに納得感のあるスゴイ進路・就職先でないと「負け組」みたいな風潮がある事も。
世間では東大理三を出れば、なりたいものには何にでもなれて、職業選択の自由が無限大!みたいに言われますが、逆にそのブランドやプライドが足枷となり、周囲に流されて、本当に自分が就きたい職業につけない不自由さが実はあるのかも知れません。
・・・トムに一喝されて、辞めるに辞められずにいた状態に踏ん切りが付きました。
鉄緑会に入る事を勧めた手前、親の都合で辞めさせるなんて、到底できないと思っていました。
と同時に、私はぽや子の「医師になりたい」という将来の夢をこの時はっきりと認識しました。理三に憧れてそう言った訳ではなく、医学部に進学して臨床医になりたいのだということをやっと認識したのでした。
その後もぽや子とよく話し合い、残念ではありますが留学前に鉄緑会を退会する決意をしたのでした。退会の旨をぽや子から先生に告げると、その日に面談を入れられてとても引き留められたといいます。翌日には先生から私にお電話がありました。
・・・結構長い時間かけて説得されたと記憶しています。それでもお断りするのに非常に胸が痛みました。私達だって辞めたくないのですが、仕方ありません。いずれどこかが破綻するのは自明でした。入塾希望者は後を絶たないのに、こんな中途半端な覚悟で入塾してきた娘(親)の将来を想って、一生懸命引き留めようとしてくださる姿勢に(もちろん商業的理由もあるのでしょうが)ただただ恐縮した事を憶えています。
短い在籍期間ではありましたが、鉄緑会とは、日本一の頭脳集団塾という怖そうなイメージとは裏腹に、先生が生徒一人ひとりをちゃんと見ていて、血の通った、温かみや愛のある指導をしている塾なのだと、この時実感したのでした。
もしウチが関西や東京在住であったら、間違いなく高3まで通わせていたと思います。鉄緑会であればその他の塾は必要なく、どんな大学でも合格できると思います。そしてたとえ東大理三に合格できなくても、そこで出会った友達や恩師は、生涯の財産になるのだと思います。鉄緑会は、やはり素晴らしい塾でした。
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