寄り添ってくれた教授や東大OB
コロナで帰省したトムはガリガリに痩せていましたが、3ヶ月ほど実家で過ごすうちに心身ともに英気を取り戻しました。私からも学務課や担当教授に、電話でトムの様子と実家に戻った事をお伝えしてあったので、特別に配慮して頂けたと思います。教授に「面白い先輩がいるから話を聞いてごらん」と、研究室のOBや先輩を何人か紹介してもらいました。トムはそのうちの一人の先輩に「卒業研究」についてZoomで相談に乗ってもらうようになりました。その先輩の就活話や起業活動、研究内容も共有してもらうようになりました。みるみるうちにトムの顔に精気が戻り、目が輝きはじめました。
その先輩と深夜まで2〜3時間語り合ったり、先輩が「一緒に作業しよう」と言ってくれて、ZoomやLINEで繋がったまま、何時間も互いに無言でそれぞれの作業をしている日もありました。起業と修士の卒論で多忙を極める先輩が、トムのためになんとか時間を捻出してくれていた事は明らかでした。
東大の担当教授や先輩方の人間的な度量の広さ・素晴らしさには、感謝してもしきれません。学生・後輩想いの本当に素晴らしい方々。ずっとトムを気にかけ、決して独りにせず、ずっと寄り添ってくれました。その時のことを思い出すと、今でも涙が出ます(泣)。トムは本当に恵まれた人間関係に、救われてきました。
東大生の講義をこっそり聴講
トムは自宅から、オンラインで研究室のゼミに週一で参加しました。既に4年でとるべき単位は卒論以外は全て取得済みだったので、参加すべき唯一の授業でした。私はこれが楽しみで、時間になるとトムのいる部屋の隅または外に椅子を置いて座り、こっそり講義を盗み聞きしていました。東大の講義をリアルで聴講する機会なんて、こんな機会でもなければ滅多にありません。「へぇええぇぇ〜、産学協同で某企業とこんなこと研究してるんだぁ〜〜!」などと、東大工学部の先進的な取り組みや研究内容を知り、目からウロコの連続でした(内容はもちろん極秘です;)。近い将来、世の中を変えるような新たなサービスや商品が、世に送り出される日をワクワクしながら待っています。さすがは東大!です。
パソコンのZoom画面には20人ほどの学生達の名前入りのハコが映し出されていました。中には顔出ししている学生もいますが、そのほとんどはカメラOFFで参加していました。 そして、まだ40代前半と思われる若きイケメン教授が、流暢な英語で学生達に語りかけます。MITに留学経験もある、すごい経歴の頭脳明晰なイケメン東大教授。滅多にお目にかかれない人種のお方なだけに、私はいつもワクワクしながらお声を拝聴しておりました。トムに見つかると「あっち行って!」と嫌な顔をされ、追い払われてしまいました。
留学生も多く、フランスやアメリカ、シンガポールから参加している学生もいました。皆コロナ渦で母国に帰ってしまっているようでした。
Zoom会議のファシリテートの仕方や学生達への声がけなど、自分自身の仕事上でも活かせそうなノウハウを、東大教授のリアル講義からこっそり学びました。そして3ヶ月近く経ったある日、トムは東京に戻ると言い出しました。
すっかり自分の居場所を再確認したトムに安堵するのと同時に、猛然と寂しい気持ちに襲われました。「もっとここに居ればいいのに」と喉元まで出ましたが、なんとか抑えました。実家は休養の場所であり、トムには活躍すべき場所があると肝に銘じていましたが、トムが東京に戻って1週間くらいは、大きな喪失感に涙もろくなったりしました。
コロナが変えてしまった、本郷キャンパスのイメージ
実家に帰省中のトムが漏らした一言。
国の有形文化財に指定されているゴシック建築の荘厳なレンガ造りの学舎。何度も遊びに行っては、その美しさにため息が出たものでした。それが今は、巨大な漆黒の輪郭を闇夜に浮かび上がらせながら、住宅街のど真ん中に異様なコントラストを放って鎮座する「要塞」と化しているとは(トムの中では)。カラスなんか鳴いてる日には、外国のお化け屋敷さながらの迫力を呈していそうです。
受験前はあれほど憧れた歴史と伝統あるキャンパスなのに、コロナ渦の苦い思い出と相まって、トムにとってはもはや良いイメージがないのが感じとれました。歩いて5分の距離なのに、相当な心理的距離感が出来ているようでした。
本郷キャンパスの周囲にはスーパーはなく、コンビニとラーメン屋・定食屋ばかりで自炊も困難でした。正直言って、車もない学生が一人で住むには不便な場所でした。
コロナ渦でオンライン化された事もあり、本郷キャンパス至近の家賃の高い文京区のマンションに住み続ける意味が、もはや見い出せなくなっていました。大学院に進むのと同時に、思い切って引っ越ししました。家賃はなんと半額になり、トムも心機一転、新生活をスタートさせることができました。
転居が大きな転機に
新居は、下町情緒のある雑多なエリアにしました。深夜までやっているスーパーもたくさんあり、近隣に大学が多く、賑やかな学生街でもあります。駅のロータリーでは若者達が深夜までバンド演奏や弾き語りをしていて、常に人の気配が途絶えることのない、活気あるエリア。もう深夜のコンビニに通わなくてもよくなり、漆黒の「要塞」に怯える事もなくなりました。
子供の性格にもよりますが、一人暮らしの大学生(特に男子)には、高級でスノッブなマンションよりも、人の息づかいが感じられる雑多で賑やかなエリアの方が合っているのかも知れません。あと、ご飯大好きな男子は特に、徒歩圏内に惣菜コーナーが充実したスーパーがあるかないかも重要ポイントであると痛感しました。地元の主婦が通うようなスーパーが近くにあるだけで、QOL(Quality of Life)が上がります。食は心身の健康に直結しますから、最重要視すべきポイントでした。食事付き学生マンションを出たのにもかかわらず、スーパーが近くにない物件を選んでしまい、結果「食」を軽視してしまった自分を、とても反省しました。
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「SAPIX」→「鉄緑会」→「東大(理三)」はもはやエリートコースの王道。王道を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」のルポは非常に読み応えがあります。↓↓↓
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