残酷な中学受験の結果
なかなか成績が上がらず、月一の模試では第一志望校の合格判定は常にC判定以下。低迷する順位に、親の私のほうがイライラし、12歳の少年であることを忘れて嫌味を吐いてしまう事もありました。
ある時は勉強もせずスマホゲームばかりやっている息子にマジ切れして、
「もう中学受験なんて辞めたら?お金と時間の無駄じゃないの!😡」
とテキストや参考書をゴミ箱に放り込んだこともあります😓
※もちろんパフォーマンスですが….
今思えば一番苦しい思いをしていたのは本人なのに、と分かります。
スマホゲームはしばしの息抜き、現実逃避だったのに、当時はそれが分からなかった。
そんな時は夫が
「そうそう。中学受験なんて必要ない。はじめから俺は反対だったんだ。
辞めちゃえ辞めちゃえ~ 地元の中学に通えばいいんだよ😉」
などと、トムをJK娘と一緒に映画や釣り堀に出かけたりしていました。これには私も更にイライラしましたが、
しばしの間離れてみる事で、お互い冷静になれる事に気づきました。もし夫も私と同じ調子で叱っていたら、家の中が最悪の空気になります。そして息子は逃げ場がなかった事でしょう。父と母で真逆のスタンスを演じる事は、子供が混乱するのではと危惧される声もあるかもしれませんが、子供の精神的な避難場所を作る上では結果的に良かったと思っています。
とはいえ息子の数学的センスはエンジニアである夫譲りなので、算数の問題で分からないものがあると、息子は夫に質問していました。
すると夫はゲームの攻略法を教えるかのような、楽しげな様子で一緒に難問を解いていました。中学受験とは、親子の距離を縮める良い側面もあるのだなと思ったりしました。
正味約10か月間の短い受験生期間が終わり、翌年1月からいよいよ入試本番が始まりました。あっという間の10か月でした。
受験した学校は全5校。…..結果は3勝2敗。
第一志望(偏差値55)と、さらに上のチャレンジ校(偏差値60)は不合格でした。
入試は1月中旬から2月頭にかけて毎週土曜日にあり、本命校ほど後のほうに入試がありました。3校連続して合格通知を手にしたときは、これなら第一志望もいけるんじゃないかと期待してしまいました。
しかし受験とは超現実的で残酷なものです。
第一志望の合否結果を知った時の息子の様子を今も鮮明に思い出します。
朝、速達で郵送されてきた封筒を、すでに開けて中身を見てしまっていたので、
起きてきた息子に、鎮痛な面持ちでそのまま無言で手渡しました。
息子は緊張気味にソファに座り、封の開いた封筒の中から、結果が記された紙をペラリと取り出して、一瞬見誤ったのか
「あ、合格?」と呟きました。
しかし次の瞬間、「不合格」の文字を確認すると、突如無言でビリビリに破いて、ゴミ箱に突っ込んだのでした。
…夫も私も呆気にとられました。
泣いたり怒ったり落ち込んだりするのかと思いきや、淡々と現実を受け入れ、それっきり二度と第一志望校の事は口にしなくなりました。
短い受験期間だったこともあり、やれる努力はやり切ったこともあり、後悔などの感情は、息子には全くなかったのだと思います。
数日後に、合格をくださった3校のうち、第3志望の学校(偏差値50)に、「入学したいんだけどいい?」とトムは淡々とした表情で聞いてきました。
恐れていた、「やっぱり地元の小学校の友達と一緒に、地元の公立中学に通いたい」とは言い出しませんでした😅。
第一志望校に落ちた事をトムなりに「親に悪い」と思って神妙な表情を浮かべつつも、内心は既にこの学校への進学を決めていたのだと思います。10か月間ではありましたが、息子は大きく成長したと感じました。
私は
「もちろんいいよ。いい学校に受かって良かったね😂」
と返しました。
生まれて初めて、子供が自分の努力でつかみ取った成果なのだから、第一志望が残念でも、子供が納得していれば、もうそれで十分なのだと思えた瞬間でした。