3. 東大生の学童期

東大生の学童期(4)~「自己肯定感」「自信」「社会性」の芽生え~

「自己肯定感」が「自信」につながる

「保育園上がりの問題児」の汚名を返上し、地味にではありますが徐々に自分の個性を発揮しつつ、アイデンティティを確立していった息子トム。きっかけは4年生になり、クラス担任がトムを認めてくれるようになった事でした。その50代のベテラン女性教師は、算数の授業で、問題の解答について生徒を次々に当てて、正解が出ないと決まって最後にトムに回答を振りました。トムが正解を言うと、時には黒板の前に立たせて、黒板に解法を書かせ、自分の替わりに説明させたりしました。トムの説明が終わると、

「正解!ありがとう。はい、拍手~!」

と言って、席に戻らせるのです。

実にうまいやり方でした。10歳の少年にとって、これがどれだけ自尊心とモチベーションをかき立て、皆のリスペクトを集めるのか、この先生はよく分かっていたのだと思います。トムはいつ当てられても完璧に応えられるように、算数の予習だけは欠かさないようになりました。

子供に限らず人間は、至らない所を指摘されて補う努力をするよりも、褒められ認められて、得意分野を伸ばす方が成果に結びつきやすいものです。

トムだけではありません。他の教科でも、その教科が得意なお子さんを同じように指名して、正解を言わせたりその子のノートを皆にお手本として公開したりしました。

勉強以外にも特技や熱中する分野があるお子さんの事をさりげなく披露して、「〇〇博士」とか「〇〇名人」などの名誉あるあだ名をつけました。教室の後方の掲示板には、クラスの全員の名前と共に、何らかの「〇〇名人」「〇〇博士」と書いた色紙が常に貼ってありました。 トムはこの時、「算数博士」と「昆虫博士※当時は昆虫好きが高じて異様に詳しかった」との称号を頂きました。休み時間に友達に質問され、算数を教えたりするようになりました。

…小1の時のあだ名「3バカトリオ」とは、エライ違いでした😓😓😓

時代は「ゆとり教育」の真っただ中。生徒一人ひとりの個性を尊重し、伸ばすという教育方針を実践している教師に、やっと出会えたという感じでした。こういう教師が一人でも増えていくことを、願ってやみません。

妹(JK娘)の小学校入学

やがてトムは6年生になり、同じ小学校に妹のJK娘(当時6歳)が入学しました。JK娘は入学してしばらくすると、

「クラスの〇〇君が、私に嫌な事をする😥」と訴えるようになりました。

「…すわ、またいじめか!?」と私は慌てました。

話を聞くと、少しやんちゃな男子がいて、娘の髪を引っ張ったり、スカートをめくったりするというのです。

…なあんだ、可愛いもんじゃないか、と私は内心ほっとしました。

「その子はきっと、あんた(JK娘)の事が好きなのよ。ほっておきなさい。」

などと言って、私は軽く考えて娘をいなしていました。

しかし当事者である娘にしたら、大問題です。

娘が度々訴えるので、私は担任教師に電話して、A君に注意するよう何度かお願いしました。…しかし状況は全く変わりませんでした。

ある朝とうとう娘は、

「〇〇君がいじわるするから、学校行きたくない!😭😭😭」

などと言い出しました。同じ通学班の班長であるトムがそれを聞きつけた時、形相が変わりました。

お母さん、どうしたの!?JK(妹の事)がいじめられてるの!?

なんで早く俺に言わないんだ!俺がすぐに辞めさせてやる!!

俺の妹をいじめるなんて、なんてヤツなんだ!!」

…と怒りを爆発させたのです。

家では喧嘩ばかりしているトムと娘なのに、です。

「社会性」の現れ 「俺の妹に手を出すな!」

トムは娘にいじわるをする男子A君の名前を聞き出しました。

「ちょっと、あんた、その子に乱暴なんかしないでよ!!絶対にやめてよ!」

私はトムに釘を刺しました。そんな事をしたらまた「問題児」に逆戻りです。

「大丈夫だよ、ちょっと注意するだけだから😉」

トムは全てを了解しているかのように見えました。

そしてその日にさっそく行動を起こしました。

トムは休み時間に友達2人を連れて、妹の教室に向かいました。

小1と小6では、幼児と大人ほどの体格差があります。小1の教室が並ぶ校舎の1階フロアに、普段は最上階の3階フロアの教室にいる6年生が降りていく事は、滅多にないのでしょう。トム達が1階の妹の教室を目指して歩いている時点で、既に非常に目立ったに違いありません。廊下に出て遊んでいた他の1年生の生徒達が、

6年生が来た!6年生が来たぞ!

あれはJK(娘の事)のお兄ちゃんだ!ヤバイぞ!!」

と察知して、教室にいたA君に伝えたらしいのでした。

トム達がゆっくりと妹の教室にたどり着く頃には、A君は一人、席について身を震わせて泣き出しました。トムは教室を覗くと、大きな声で、

A君は、いるかなぁ~!?」と呼びかけました。

周囲の生徒達が恐る恐るA君の席を指差しました。

A君は一人席に着いて、恐怖のあまり既にしゃくりあげるほど泣いていました😭😭😭。

息を飲んで遠巻きに見守る小1のクラスメート達。

トムは一人でA君の席の前に行くと、

JKは俺の妹なんだ。いじめないでくれるかな?」

と優しく言ったそうです。

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔でしゃくりあげながら、A君は

は、は、は、はい…」と答えるのがやっとだったそうです。

それだけを言って、トム達は妹の教室を後にしました。

効果はテキメンでした。以来、妹が虐められる事は一切ありませんでした。担任の先生が注意しても、一向に嫌がらせを辞める事はなかったのに、です。

小1にとって小6は、それほど怖い存在なのでしょう。

ちなみにトムは不良グループ風でもなく、至って「普通の子」の風体です。

上級生に兄弟がいるという事は、子供のヒエラルキー醸成においては大きなアドバンテージとなるようです。親や先生が介入できない、子供同士のヒエラルキーが存在し、これを上手く利用する事が、小学生のいじめには効果的なのだと、この時悟ったのでした。

そしてこの時、トムが夫以上に(笑)、初めて頼もしく感じられた瞬間でした。トムは相手によって対応を変える術を、上手に身に着けていたのでした。

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