スマホ依存症記事への反響の大きさから、依存症患者だった息子トム本人に、その原因と対策について直撃取材を敢行しました。本人の反省を促す意味も込めて。
題して、
「現役東大生が語る、スマホ依存症の原因と対策」
当事者の親としては、まだたった4年前の事で、あの頃の殺伐とした家の中の雰囲気は今でも忘れられません。とはいえトムは今でもオンライン将棋ゲームに没頭しており、とても過去の事とは割り切れませんが。
以前東京lでトムに会った時は、変なアプリを開発したと言って見せてきました。
そのアプリは、今いる場所を地図上でタップすると、地球の反対側の位置を即座に緯度・経度で割り出して、その場所のグーグルマップの画像を表示するというもの。タップした瞬間、地球の中(マグマ)をものすごい速さで突き抜けて、あたかも地球の反対側に突き出たかのような動画が仕込んであります。どうやった作ったのか、実に変なアプリでした・・・
一体なんの役に立つのかさっぱりわかりません、ええ。
これはこれでレッスンの一つとして、かつてスマホに膨大な時間とお金を投資したリターンとして、そのうち人気アプリの一つも開発して、あるいは人気you tuberにでもなって、投資に見合うリターンを回収して親に還元してほしいものです。
それはさておき、ここからは依存症をめぐるトムとの会話です。
「ドーパミン」のせいにする息子
トムは「Newton」という科学雑誌を愛読していて、私と会うと決まって、そこで得た知見を得意気に語り始めます。自分のかつてのスマホ依存症と脳科学の関係性について、実体験に基づいて解明したようです笑。
トム:「要するに、ドーパミンのなせる業なんだよ」
私: 「・・・というと?」
トム:「ドーパミンてさ、成功体験や目標達成した時に分泌される脳内物質なんだけど、やる気やモチベーションに繋がるの」
私: 「ほう、それで?」
トム:「だけどこのドーパミンはね、良い面でも悪い面でも分泌されるの。例えば、模擬試験や練習試合でいい結果を出した時は、ドーパミンがドバッと出て更に上を目指そうという意欲に繋がるわけ。でもゲームとかSNSでいいね!をたくさんもらった時も、ドーパミンがドバーッと分泌されるんだよ」
私: 「なるほど。…君のスマホ依存症は脳内物質のドーパミンによるものだとい言いたい訳ね」
トム:「さらに言うと、勉強やスポーツよりもゲームの方が簡単に成果や満足感が得られやすいから、ドーパミンが分泌されやすいんだ。日常的にドーパミンが分泌している状態になると、更に強い刺激を欲するようになるんだよね。」
私: 「ドーパミンのダダ漏れ状態ってやつですか」
トム:「そう。だからより強い刺激を求めてゲームやSNSにのめり込むという」
私: 「….じゃあ君は今でもドーパミンのダダ漏れ状態なわけ?」
※華麗にスルーしながら、
トム:「それでね、俺なりに考えたんだけど。
あ、お母さんにも迷惑かけたよね、悪い悪い。でもね、当時俺が依存症だったとか、全く記憶にないんだよね」
・・・全ての依存症患者の特徴は、依存しているという自覚がない点です。
トム:「やっぱりドーパミンの分泌機会を、ゲームやSNS以外で増やす事だと思うんだよね。たとえばスポーツとか勉強とか。どこでドーパミンを分泌させるかを、うまくコントロールするんだよ」
私: 「(それが難しいんじゃないの)なるほど。スマホを取り上げても対症療法なだけで、根本的な改善には繋がらない訳ね」
トム: 「そうなの。俺はたまたま大学受験という次のゲームステージがあったから、そちらに移行した訳なんだけど、次の目標がないときにどうしたらいいかという事だよね。」
・・・「たまたま」大学受験に「移行した」だと!?
そう仕向けるのにどれほど母が心労を負った事か!!
あれほど親を悩ませたスマホ依存症は、今ではすっかり過去の笑い話のようになっていますが、母にしてみればまだまだつい最近の出来事なのでした。
※焼き肉屋@本郷三丁目。いつも焼肉を御馳走させられます・・・
脳内物質であるドーパミンの分泌機会をコントロールする事で、スマホ依存症から脱却し、勉強や部活にそれまで以上に打ち込めるようになるのだと言いたいようです。行為を単純に禁止するのは逆効果で、ドーパミンの戦略的なコントロールが重要なのですね。
↓理系男子&女子の勉強の息抜きにどうぞ。理系脳がほどよく刺激されるようです
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