8. スマホ依存症

スマホ依存症(3)~スマホ依存症からの生還~

確実に進行する「スマホ依存症」

息子トムのスマホ依存症は、高2の夏休みまで続きました。夏休みに入ると更に悪化し、昼夜が逆転する日々が続き、朝から晩まで自室にこもる生活が続きました。食事とトイレの時だけ自室から出てくるという有様です。😱

丁度その頃、中国でも同じようにスマホ依存に陥る10代の若者が急増しているというニュースを特集番組で見ました。悩んだ末にその親達は、依存から我が子を更生させるために、「更生施設」に2週間ほど子供を送りこむというような内容でした。覚醒した子供達は、「なぜあれほどスマホにのめりこんだかのか分からない」と言って、番組の取材に答えていました。

私は本気でこういう施設にトムを送りこむことを考え、ネットで国内にもないか調べたりしていました。しかし残念ながら「ダイエット道場」はあっても「スマホ抜き道場」はありませんでした。

あらゆる手段を講じてこの状況を変えなくては、息子はダメになってしまう、と私もほぼノイローゼ状態でした。連日、生活態度について注意し、親子喧嘩が絶えない日々が続きました。相手は男子高校生。既に身長もガタイも私よりも大きく、力づくでスマホを取り上げでも半狂乱になるばかりで、怖くて太刀打ちできません。

主人は「自分で気づくまで放っておけ」という呑気なスタンス。

とてもそんな悠長なことは言っていられません。高2の夏休みももうすぐ終わるのです。大学受験へのカウントダウンはとっくに始まっているのです。

大学を受験してもしなくても、就職するにしても、高校は卒業して、次のステージに進まなくてはならないのです。嫌でも社会に放出されるのに、こんな状態ではどこにも行き場がなくなると、私は非常に焦りました。

藁にもすがる思いで相談した「受験産業のプロ」

藁にもすがる思いで、通っていた近所の通信予備校の室長に面談を申し入れました。20代の若い女性の室長で、無理やりトムを引きずって行き、1時間程度の面談を実施してもらいました。忘れもしない、8月も終わりの夏休み最終週でした。

大学進学の話、志望校の話などをして下さったと記憶しています。息子は当時、東京工業大を第一志望にしていたのですが、それについて女性室長は、

頑張れば絶対に受かるよトム君なら絶対に大丈夫」 

と、これまでの模試の成績表データを見ながら何度も何度も力説しました。前年度に同校に合格したOBの成績データも匿名で開示して、あとどの程度得点を上げれば合格圏内に入るのかを数字をもとに具体的に示すのでした。

トムの成績や強みを客観的に分析して、上手にモチベーションを上げる誉め言葉を随所にちりばめながら、静かに畳みかけるように、しかし力強く話す女性室長。面談に同席した私は、トムのどんよりとしたうつろな表情が見る見る明るくなり、目にもはっきりと精気が宿るのを見て驚きました。

その面談を境に、トムは変わりました。変わろうとし始めたのです。

ほかにも同時にきっかけがあったのかもしれません。当時通っている高校でも、担任の熱血数学教師から本人に何度か面談して頂いていました。

女性室長と面談した翌日、トムは自分から、スマホやipodを、私に預かってほしいと差し出してきました。私はそれらを家の中に隠しました。そしてついにやっと、猛然と机に向かうようになったのです。かなり遅いスタートです……

おそらく自分でも「このままではヤバイ💀」と危機感をもっていたのでしょう。それでもやめられないのが依存症です。しかし何かのきっかけがあれば、必ず脱却できると確信します。

親ではもう無理

その際に有効なのは、親以外の第三者の介入です。親では関係が悪化するばかりで逆効果なのです。

そしてネガティブにその行為を「禁止」「批判」するのではなく、別の何か(例えば大学受験、資格試験、スポーツなど)に興味や目的を持って行かせるよう、ポジティブな動機付けが有効なのだと思います。高校生といえばもうほぼ大人、説教したり物理的にスマホを取り上げるのは逆効果で危険です。

若い女性室長でしたが、さすがは何千人という高校生を相手にしている受験界のプロ。どういう口調で、何を言えば、スマホ依存症の男子が変わるのかツボを心得ているようでした。

さらに言えば、男子校で女性に接する機会のないトムにとって、若い女性からの誉め言葉は、最高のカンフル剤になったようです。

子供の性格にもよりますが、スマホ以上に夢中になれる別の何かに、親以外の他者から、できれば子供が憧れやリスペクトを抱くような第三者から、誘導してもらう機会をつくる事が、母業の最大の課題でした。諦めて放置してしまうのではなく、とにかく親にできる事を試行するしかありません。そういう親の姿を見て、子供にも自分が依存症であると、多少なりとも自覚が生まれます。

とはいえトムがその後一切スマホに触れなかったかと言えば、そんなことはなく、その後もたびたびスマホに戻ろうとしてしまいました。 その結果が、以下の画像でした↓

↓トムが自ら破壊したスマホ&ipod touchの死骸達💀

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