9. 東大生の高校時代

東大生の高校時代(5)~学力ヒエラルキー~

「君、来期からS(トップ)クラスだから。」

トムが高校2年終わり頃、3月の事です。通っていた地元の塾でこんな事がありました。 

同じ高校から一緒に通っていた友人2人と、授業を終えて1階エントランスのロビーを歩いていた時の事。その塾の室長先生がやおら追いかけてきて、突如トムを呼び止めました。

一緒にいた友人2人と振り返ると、室長先生(60代女性)は真っすぐトムの方に向かって歩いてきて、にこにこと笑顔でこう言ったそうです。

「トム君、きみ、来期からSクラスだから。頑張ってね。」 

Sクラスとはその塾の数学のトップクラスの事で、全6クラスあるうちの最上位クラスの事でした。

その塾は、半期に一度実施する確認テストの成績によってクラス編成を行っていて、Sクラスとは東海高校や南山女子などトップ校の生徒ばかりが所属する最上位のクラスです。

高2の冬休み明けの3月に受けた確認テストの結果で、そのクラスへの編入が認められた、という事でした。通常はテストの結果と次期クラスは、封書で自宅に郵送されるのですが、その前に室長先生がわざわざ直接トムに伝えに来たのでした。いわば異例の扱いです。

一緒にいた友人達は口々に、

「おお、すげぇ~!俺は俺は!?」

と室長先生に尋ねましたが、これには一切答えず一瞥もくれず、その一言だけを伝えるとその場を去ったというのです。 

トムは、嬉しい気持ちになった反面、歴然と存在する学力ヒエラルキーを初めて体感したと話しておりました。

その塾にはトムは高校1年生から通っていましたが、室長先生から一度も声をかけられた事などなかったそうです。     200人以上所属する塾だけに、室長先生も塾生達の顔と名前を全員憶えている訳ではありません。

しかしその時ばかりは、同じ制服を着た男子生徒が3人いる中で、真っすぐに自分だけを見つめて歩み寄り、他の生徒には目もくれず、まるで以前からトムをよく知っていたかのような親しみを込めた笑顔で、声をかけてくれた、という事でした。

「学力ヒエラルキー」の効能

成績上位者だけが室長先生に顔と名前を認識され、賞賛の声をかけられる世界。塾としても大学進学実績に貢献する可能性のある生徒に目をかけるのは当然ですが、受験産業におけるあまりにも分かりやすい「差別」を実感して、少なからずトムは衝撃を受けたのでした。親としても、自分の子供が「その他大勢の生徒だったら?と思うと、やり切れない思いになるでしょう。しかしこうした扱いを受ける事に対する憤りをバネに、生徒達に奮起する事を求めている側面もあったのかもしれません。 

「塾は最上位クラスでなければ意味がない」

トップクラスの授業は、先生の質もテキストの内容も授業の進度も、他クラスとは比べ物にならないほど高度なものでした。これでは同じ授業料を支払っている他のクラスの生徒は、圧倒的に不利ではないかと思うくらい違いがあったそうです。別格の授業により上位層は更に学力を高め、中間層以下はそれなりに落ち着いてしまいます。

1~2年の間は、トムも中間層以下の「その他大勢」の一員でした。同じ授業料を支払っていても、こうまで差がつけられているとは露知らず、ただ漫然と塾に通っていました。初めて最上位クラスの世界を知って、煌びやかな大学合格実績は、この集団が叩き出していたのだと、改めて実感したのでした。そのクラスからは毎年大量に、東大・京大・国立大医医への合格者が生まれていました。そんな集団への仲間入りを果たし、しかもたった一人で無名の高校から編入したためか、周囲の生徒からも注目を浴び、中にはあからさまに不快感を表す塾生もいたようでした。

その劣等感と自意識、闘争心をバネに、トムはそのクラスでの順位争いに(まだまだずっと先ですが)参戦するようになるのでした😱 努力すればするほど、どんどんと周囲の環境が変わっていき、付き合う友達も変わっていくことが、更にトム自身を成長させていくのでした。

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